新わかめ(干したもの)適量
米 1カップ
水 5カップ
塩 少々
1米をといで土鍋に入れ、分量の水に30分ほど浸し、強火にかけます。
2沸騰したら鍋底から全体を静かに混ぜ、蓋をして弱火にします。焦げないよう途中2~3回混ぜ、米が柔らかくなるまで20分ほど炊きます。
3わかめは戻して食べやすく切り、炊きあがったお粥に加え、塩で味を調えます。
生椎茸 4個
木綿豆腐 1/2丁
白ごま 30g
白味噌 大さじ1
みりん 大さじ1
醤油 大さじ1
片栗粉 少々
ごま油 少々
1すり鉢に白ごまを入れ、粒がなくなるまでしっかりすります。
21に白味噌を加えてさらにすり、水切りした豆腐を入れて混ぜ合わせます。
3軸をはずした椎茸のかさの中に片栗粉をまぶし、2をはりつけ、再度片栗粉をまぶします。
4熱したフライパンにごま油を入れ、衣を上にして中火で焼きます。
5両面を焼いたら、みりん、醤油を加えて全体に絡めます。
精進料理では「殺生をしない」という仏教の考えのもと、追いかけて逃げるものは食材にしません。そして「五葷(ごくん)」といって、葱・ニラ・ニンニク・玉葱・らっきょう等、匂いの強い野菜を使わないところが通常の野菜料理と違う点です。禅寺の山門前には「不許葷酒入山門」と書かれた石柱があるのは、匂いの強い野菜と酒は修業の妨げになるので寺の中に持ち込んではならないということなのです。
「精進」という言葉はサンスクリット語のviryaが中国で「一生懸命努力する」と訳されたもので、日本では平安時代「枕草子」に”精進(そうじ)もの”として、寺院で簡単な野菜料理が食べられていたという記述があります。それから時代を経て、曹洞宗の開祖・道元禅師が宋の時代の中国へ留学し、中国の禅寺の体験から帰国後、禅寺の食事の哲学と実際の作り方を『典座教訓』(てんぞきょうくん)に、食べ方の基本を『赴粥飯法』(ふしゅくはんぽう)に書き残しました。このため特に曹洞宗では現在に至るまで、食事のあり方の哲学と作法が事細かに伝わり修行道場では厳格に行われています。『赴粥飯法』には、口に食べ物をたくさん詰め込まない、音をたててはいけない等、現代にも通用するマナーの基本が書かれていて参考になります。
千利休は禅の修業をしたので、茶道に禅の心とマナーを取り入れました。茶腕を清める茶巾という麻布のたたみ方は、曹洞宗の雲水(修行僧)が持つ応量器(入れ子の五つ重ねの食器)で使う布巾のたたみ方と同じなのです。
「はじめての精進料理」では、精進料理の哲学に触れていただけるような、家庭でもつくれるレシピをご紹介します。長い年月を経て受け継がれてきた教えは、生活を見直すヒントを与えてくれるはずです。
北海道出身、鎌倉在住。早稲田大学教育学部卒。
僧侶であった夫・藤井宗哲(2006年他界)と二人三脚で、精進料理に携わる、現在は、鎌倉「不識庵」での精進料理塾「禅味会」をはじめ、地域のカルチャーセンターや全国各地に招かれての料理講習会、パリ、ロンドン、北欧、米国、東南アジアなどで精進料理のワークショップなど幅広く活動。http://kamakurafushikian.com/
撮影:今井 隆伍