はじめての精進料理 Vol.04<br>きのこの養老蒸しと泥蓮根

Vol.04
きのこの養老蒸しと泥蓮根

きのこの養老蒸し

材料(4人分)

シメジ 1パック

エノキダケ 1束

なめこ 1パック

生椎茸 4枚

椎茸だし 2カップ

醤油 小さじ2

ゆずの皮 少々

銀杏 4個

百合根 1/2個

長芋 15センチ

酢水 水 2カップ/酢 小さじ1

*干し椎茸2コを2カップの水にいれタッパーで冷蔵庫にて1晩寝かしたもの。戻した干し椎茸は冷凍保存も可能。

つくり方

1シメジは根元を取りほぐし、エノキダケは 長さを1/3くらいに切ります。
生椎茸は石づきを取り、せん切りにします。

2鍋に 椎茸だしと醤油を合わせ、きのこ類を2~3分煮ます。

3銀杏はゆでて薄皮をむきます。

4長芋は皮をむき、酢水に5~6分さらしてから すりおろします。

5器に2を汁ごと入れて、百合根と銀杏をちらします。その上にすりおろした長芋を入れ
蒸気の上がった蒸し器で7~8分蒸します。

6仕上げにゆずの皮のすりおろしをのせます。

泥蓮根

材料(4人分)

蓮根1節(約80g)

黒ごま 大さじ3

白ごま 大さじ1

A 昆布だし 1カップ/みりん 大さじ2/醤油 大さじ1

B みりん 大さじ1/醤油 小さじ1

つくり方

1皮をむいた蓮根を 半月に切って水にさらし、Aで5~6分煮ます。

2黒ごまと白ごまをよくすり、Bを混ぜます。

31に2を混ぜ合わせます。

精進料理とは

  精進料理では「殺生をしない」という仏教の考えのもと、追いかけて逃げるものは食材にしません。そして「五葷(ごくん)」といって、葱・ニラ・ニンニク・玉葱・らっきょう等、匂いの強い野菜を使わないところが通常の野菜料理と違う点です。禅寺の山門前には「不許葷酒入山門」と書かれた石柱があるのは、匂いの強い野菜と酒は修業の妨げになるので寺の中に持ち込んではならないということなのです。

  「精進」という言葉はサンスクリット語のviryaが中国で「一生懸命努力する」と訳されたもので、日本では平安時代「枕草子」に”精進(そうじ)もの”として、寺院で簡単な野菜料理が食べられていたという記述があります。それから時代を経て、曹洞宗の開祖・道元禅師が宋の時代の中国へ留学し、中国の禅寺の体験から帰国後、禅寺の食事の哲学と実際の作り方を『典座教訓』(てんぞきょうくん)に、食べ方の基本を『赴粥飯法』(ふしゅくはんぽう)に書き残しました。このため特に曹洞宗では現在に至るまで、食事のあり方の哲学と作法が事細かに伝わり修行道場では厳格に行われています。『赴粥飯法』には、口に食べ物をたくさん詰め込まない、音をたててはいけない等、現代にも通用するマナーの基本が書かれていて参考になります。

  千利休は禅の修業をしたので、茶道に禅の心とマナーを取り入れました。茶腕を清める茶巾という麻布のたたみ方は、曹洞宗の雲水(修行僧)が持つ応量器(入れ子の五つ重ねの食器)で使う布巾のたたみ方と同じなのです。

  「はじめての精進料理」では、精進料理の哲学に触れていただけるような、家庭でもつくれるレシピをご紹介します。長い年月を経て受け継がれてきた教えは、生活を見直すヒントを与えてくれるはずです。

講師:藤井まり

北海道出身、鎌倉在住。早稲田大学教育学部卒。
僧侶であった夫・藤井宗哲(2006年他界)と二人三脚で、精進料理に携わる、現在は、鎌倉「不識庵」での精進料理塾「禅味会」をはじめ、地域のカルチャーセンターや全国各地に招かれての料理講習会、パリ、ロンドン、北欧、米国、東南アジアなどで精進料理のワークショップなど幅広く活動。http://kamakurafushikian.com/

講師:藤井まり

撮影:今井 隆伍