公益財団法人仏教伝道協会主催 こころの絵本大賞 2022

こころの絵本大賞 第7回受賞作品 なきごえがじまんのきつね 作 近藤 えり

きつねが釣り鐘に化けるお話で色彩の豊かなやわらかい筆づかいの絵に好感が持てます。
(西本)

鐘に化けて声を自慢のする狐という発想が面白い。
その発想を安定感のあるクレヨン画で、優しく包んでいる。
優しい気持ちにしてくれる絵本。絵本の読まれ方には、いろいろある。
読んだ途端にこどもたちが「きゃはっ!」と笑う絵本もある。
読み終わって、じんわりするものもあれば、
その場面を開いていたいという楽しみもある。
こんな狐の絵本があってもいいと思わせた。(藤本)

(出版に際しては一部直しが入ります)

講評

「第7回 こころの絵本大賞」審査経過及び講評

波賀 稔(鈴木出版編集長)

第7回「こころの絵本大賞」の応募総数は129編でした。昨年より若干減少したものの、全体の完成度は昨年よりも上回っていたように思います。〆切翌日の9月1日と2日の二日間で全作品を読み込み、21編を第一次通過作品として選出しました。

ところで、第一次審査の際に落選する作品はどんな作品かというと、まず応募規定を遵守していない作品です。本文13見開きか15見開きの絵本であることが条件なのに、文章だけの作品は審査外となります。また、応募作品は完成した作品であるべきなのに、絵が雑で、下書きの状態だと思われる作品、文字が読みにくい自筆の文字だったり(読みやすいように、できることならパソコンなどで印字した文字にするなどの工夫が必要)、色の付け具合が中途半端で完成作品とは思えないものなど、一目で、大賞候補にすらならないものも、残念ながら一次審査で退散していただくことになります。

そして、「読み聞かせを通じて、子どもたちに『こころ』の大切さを伝えたい」とうたっているので、子供向けの絵本であることも審査の際には加味されます。コンクールの意図を理解した上、「こころの絵本大賞」というコンクールへの応募作品だということを意識して作品を作り、応募していただければと思います。

さて、一次審査を通過した21編は、選考委員の児童文学者・西本鶏介先生、絵本作家・藤本ともひこ先生に応募作品を事前にお送りして検討していただき、9月21日に、仏教伝道協会の会議室に集合して最終審査を行いました。

大賞を受賞した『なきごえがじまんのきつね』と優秀賞の『うちのスキヤキ』の二作品が最後までしのぎを削りました。『うちのスキヤキ』はお話の展開としてはとても分かりやすいのですが、その面白さが理解できる読者は小学生以上だと思われます。『なきごえじまんのきつね』は自分の良さを再確認する話で、こちらのほうが幼児でも分かりやすいことと、絵の熟成具合で、『なきごえじまんのきつね』に軍配が上がりました。
受賞各作品については、西本鶏介氏と藤本ともひこ氏の講評をご覧ください。
<第7回 こころの絵本大賞 講評>
西本 鶏介
ありふれた日常の出来事からだって心にしみるお話を描くことができます。動物の安易な擬人化は類型的な作品を生みやすく、つまらないお話はどんなにすぐれた絵をつけても感動は生まれません。ユニークな個性のある作品やあたたかく夢のある作品がとぼしく、優秀作品を選ぶのに苦心しました。絵はプロでも肝心のお話が弱い。すぐれた絵本や童話の文をたくさん読んでください。マンガや劇画風の絵が多く、デッサン力のしっかりした色彩豊かな絵本が少ないように思いました。

応募の絵本で気になるのは絵の上に直接ペンで文字をかいた作品。字が小さくて読みづらく、しかも長々とした文章。絵の上に活字の文を張りつけるぐらいの心づかいがないと、いい絵本は生まれません。
<第7回 こころの絵本大賞 講評>
藤本 ともひこ
アイデアは日常の半径5メートル以内にあったりする。それを元に、自分ならではの切り口で 「絵本のための物語」を紡ぎ出し、「絵本のための絵」で可視化する。その作業は楽しくもあり。

悶えながら、行ったり来たりしながら、考え続け、手を動かし続ける。
まずは、完成したものを、人目に晒すという挑戦に拍手である。
賞は一人のみ。ほとんどが選外になる。

しかし選外評価もメッセージだ。審査はいいとこ探しである。「絵」「物語」「アイデア」「全体像」どこかが輝いているから残る。自分の強みを自覚して伸ばす。弱みは見つけ出して補強する。思考停止せず、手を動かし続けよう。それは、きっと、人生そのものを強くしてくれる。

今後の切磋琢磨を楽しみにしています。こどもたちのためにこそ。面白い絵本を作っていきましょう。

優秀賞 うちのスキヤキ 作:たーもしらい

優秀賞 うちのスキヤキ 作:たーもしらい
応募作品の中ではもっともお話のしっかりした作品でコンプレックスを捨てて友だちとつきあうまでの主人公の思いが心にひびきます。残念ながら絵がコミカルでお話にふさわしくありません。(西本)

収入格差とか、家族構成とかというのは、家庭ごとにすき焼きの肉が違うとか、風呂の大きさとか、色々コンプレックスの元になるんだけど。そういうのを敏感に感じる主人公の、こころの動きを描く絵本。そんなチンケなコンプレックスを吹き飛ばすが如くの物語は気持ちいい。のだが絵が説明の絵にとどまってしまっているのが残念。(藤本)

優秀賞 おにいちゃん ほしい! 絵:西瓜妹 文:たに わたる

優秀賞 おにいちゃん ほしい! 絵:西瓜妹 文:たに わたる
弟ではなくおにいちゃんをほしがる女の子と次々に登場するカッパや天狗や鬼との交流が切絵で表現された楽しい絵本です。(西本)

なぜ欲しいかは描かれず始まる。お兄ちゃん候補の変な人たちが、登場するのが面白い展開。主人公の我が頑固なまでに譲らない。エンディングでは「弟」を受け入れて欲しかったかな。主人公のこころの起承転結がある方が物語は安心して読み終えられる。というのが個人的感想。(藤本)

ぼくはこれじゃなきゃヤ! なの! 作:空野 いつく

ぼくはこれじゃなきゃヤ! なの! 作:空野 いつく
かぶるとお化けに変身できるタオルを手ばなさない子どものユーモラスな絵本。シンプルな絵も文もこの絵本にぴったりです。(西本)

お気に入りの穴あきタオル。これじゃないと。という気持ちを絵で楽しませてくれる。前半は面白いのだが、後半の山場がないのが残念。この設定で推し進めるなら、ただ単に前段階の小冒険で疲れちゃったから寝ちゃうだけの後半というのは、肩透かし的不満足が残ってしまう。山場をください。(藤本)

佳作 いのちのうた 作:かみしらいわ しょうご

佳作 いのちのうた 作:かみしらいわ しょうご

佳作 おまもりのおりづる 絵:しばた ゆうこ 文:おぜき はるか

佳作 おまもりのおりづる 絵:しばた ゆうこ 文:おぜき はるか

佳作 やくそく 作:小林 智子

佳作 やくそく 作:小林 智子

佳作 困っているキツネ 作:mingsusu

佳作 困っているキツネ 作:mingsusu

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