仏教音楽の現代化とその普及

当協会では事業目的のひとつとして「仏教精神とその文化興隆の為の啓蒙活動」を掲げており、その事業の一環として「仏教音楽の現代化とその普及」の活動を行っております。

仏教音楽の現代化とその普及


第14回「釈尊を讃えて」仏教音楽祭で1位となった
「君は一人じゃない」を歌う、沢村まみさんらメンバー

古来、人類の文化は宗教とともに発展してきたといっても過言ではありません。

中でも宗教的雰囲気を盛り上げるための一助として、音楽が果たしてきた役割は大きなものがあります。

日本においては、聲明(しょうみょう)や雅楽を中心とした宗教音楽が、その長い歴史の中で多くの人々に影響を与えてきました。

当協会では、伝統的宗教音楽を継承すると同時に、仏教音楽の現代化を進め、広く仏教精神とその文化に親しんでいただくことによって、仏教的基盤を確立しようと努力しております。

これまでの開催経過

昭和52(1977)年11月28日 第1回「東西の出合い」コンサート
昭和53(1978)年11月2日 第2回「東西の響き」コンサート
昭和55(1980)年3月28日 第3回「天籟地響」コンサート
昭和55(1980)年3月28日 第4回「世界仏教音楽祭」(作品コンクール本選会)
テーマ「精神宇宙21世紀への出発」
昭和61(1986)年6月3日 第5回「世界仏教音楽祭」(作品コンクール本選会)
―仏教伝道協会設立20周年記念―
平成元(1989)年9月18日 第6回「釈尊を讃えて」世界仏教音楽祭
―仏教伝道協会設立25周年記念―
平成2(1990)年10月1日 第7回「釈尊を讃えて」
~十方のひびき~ 音楽とお話の夕べ
平成9(1997)年9月30日 第8回「釈尊を讃えて」世界仏教音楽祭
―仏教伝道協会設立30周年記念―
平成11(1999)年10月29日 第9回「釈尊を讃えて」講演と音楽の夕べ
―仏教伝道協会設立35周年記念―
平成12(2000)年9月29日 第10回「釈尊を讃えて」世界仏教音楽祭
―仏教伝道協会設立35周年記念―
平成14(2002)年12月6日 第11回「釈尊を讃えて」世界仏教音楽祭
―築地本願寺パイプオルガン平成大修復記念―
平成16(2004)年10月7日 第12回「釈尊を讃えて」講演と音楽の夕べ
―仏教伝道協会設立40周年 第38回仏教伝道文化賞受賞記念―
平成17(2005)年11月18日 第13回「釈尊を讃えて」音楽作品公開演奏審査会
―仏教伝道協会設立40周年記念― テーマ「いつくしみ」
平成20(2008)年11月27日 第14回「釈尊を讃えて」仏教音楽祭
~公開演奏審査会~テーマ「ささえあって」
平成23(2011)年11月30日 第15回「釈尊を讃えて」
~親鸞聖人750回大遠忌・法然上人800年大遠忌記念 東日本大震災チャリティ・コンサート~
平成26(2014)年3月12日 第16回仏教音楽祭 Buddhaspel(ブッダスペル)チャリティ・コンサート
~Light of Hope 希望の光~
平成27(2015)年9月11日 第17回仏教音楽祭 公益財団法人仏教伝道協会  設立50周年記念 Buddhaspel(ブッダスペル)アニバーサリーコンサート

インタビュー「仏教音楽~歌詞とメロディーに込められた願い~

第14回「釈尊を讃えて」仏教音楽祭 第一位受賞曲「君は一人じゃない」

当協会は昨年、「ささえあって」をテーマに、仏教音楽の新曲を募集いたしました。 223曲の応募作品の中から、「仏教音 楽の現代化とその普及」に最もふさわしい曲として「君は一人じゃない」(作詞:片岡まどか、作曲:中島安敏、歌手:沢村 まみ)が選ばれました。公開審査会の講評で、審査委員長の小林亜星先生は、「こういう曲があって良かった!」と、この曲 を通じて仏教のこころが、世界中に伝わることに期待の言葉をかけました。


誰もが口ずさめ、親しみやすいメロディーに、メッセージ性あふれる歌詞を乗せた「君は一人じゃない」を世に出した、片 岡、中島、沢村の三氏に、歌詞とメロディーに込められた願いについて聞きました。




沢村まみさん(左から二人目)ら
J.P.S.Aのメンバー

作詞:片岡まどか(写真左)
(社)日本童謡協会会員。詩人・サトウハチロー氏に師事し、主に童謡、ホームソング、シャ ンソン、合唱曲等の作詞や、テレビドラマ(主題歌)、ラジオ番組、種々のコンサートの構成 等を行う。作詞に、「光る船」(合歓ポピュラーフェスティバル’70入賞)、「青空みなが ら」、「私は木馬」「サンバでラプソディ」「首里城の丘から」。著作に詩集「さよならのバ ラード」「小さな牧歌」など。現在、読む詩と歌う詩「メロディーノート」作詞教室を主宰。

作曲:中島安敏(写真中央)
1953年渡米し、Santa Monica City College卒業。West Lake College of Music編曲科卒 業。帰国後1959年 日本コロムビア・レコードより作曲家としてデビュー。現在PAC音楽 院を主宰し、歌手や歌手の卵のため、ヴォイス・ヴォーカルトレーニングを続けている。 作曲に「京都の夜」(歌手/愛田健二)、「霧の彼方に」(黛ジュン) 、「涙の太陽」(エミー・ジャ クソン、安西マリア、田中美奈子)、 「私は木馬」「光る船」(澤村美司子)等

歌手:沢村まみ(写真右)
沖縄県出身。兄は作曲家の「中島安敏」、姉は歌手の「澤村美司子」という恵まれた環境に育つ。 10代で「沢村和子とピーターパン」でデビュー。音楽大学卒業後渡米。1987年ポーランド 音楽祭、海外友好賞。CMソング「Touch My Love」、「Destinatin」(ポリドール)。ドラマ 主題歌「ニュースキャスター物語、Reminesrnce」。CD「When October Goes」など。

新曲を応募したきっかけは
中島:これまで50年近く作曲家として活動してきましたが、こういった公募に 応募するために新曲を書いたのは初めてのことでした。
私の妹でもある歌手の沢村まみさんが、J.P.S.A(Japan Pops Singers Association)という、歌手の育成と意識向上を求める団体を一年ほど前に結成し、ボランティアで歌を披露するなど社会的な活動を行ってきましたが、仏教伝道協会が行っている仏教音楽普及活動を知り、私も何か一つでも協力できることがないかと考えた結果、新曲を書きました。

作曲のイメージは
中島:どんな曲にするかというイメージや全体の構想を練ろうと、実は、箱根の山に籠もりました。イメージが出来上がるまで、少しの期間籠もることを覚悟していたのですが、2日ほどでイメージ創りができましたので、東京へ帰ってすぐに曲をおこしました。

その新曲が最優秀の第一位に選ばれましたね
中島:自信をもって創った曲でしたが、レベルの高い音楽祭でしたので、まさか最優秀作品としての評価を受けるとは思ってもいませんでした。公開演奏審査会では、沢村まみさんの他に、J.P.S.Aのメンバーもコーラスとして加わり、日頃のボランティア活動で得た経験を披露できたからこそ、この曲が持っている “仏教的なこころ”を伝えることができたのではないかと思っています。

J.P.S.Aのボランティア活動はどの様なものでしょうか
沢村:コンサートだけでなく、高齢者や障害者などの福祉施設を訪問したりしています。メンバーは5人で、仕事をもってバリバリと働いている方や、普段は主婦をされている方と一緒に活動しています。歌手が歌を披露する場として、施設を訪問するのではなく、歌に込められた歌詞の意味を、リズムに合わせて一緒に歌うことで生まれるコミュニケーションを求めたいと考え、開かれた活動を行っています。

曲の振り付けに日本手話が用いられていますね。
沢村:忙しい現代の社会にあって、心の問題が注目されています。音楽は、音楽療法として心を癒したりする効果があることが知られていますが、この曲の良さを一人でも多くの方々に伝えようと思った時、友人からのアドバイスもありまして、手話で表現することを思いつきました。

公開演奏審査会当日の観客が一緒に振り付けをマネしていたのを見ました
沢村:手話は難しい、という先入観があるかもしれませんが、「君は一人じゃない」というメッセージを伝えるには難しいことではないように思います。見て、マネをすれば誰でもできるようになります。以前、知的障害者の施設を訪問した時には、振り付けが特に喜ばれ、何度も何度も一緒に振り付けを覚えました。歌詞は分からなくても、音楽のリズムと手の動きを楽しむ子どもたちの姿を見て、手話の大切さを実感しました。

小林審査委員長は歌詞の奥深さについても絶賛していましたね
片岡:私は特に仏教的な知識を持っていませんでしたので、仏教に関する本を読みました。「仏教聖典」も、もちろん読みましたが、その中でも特に仏教伝道協会の発願者であられます沼田惠範師の講演録「一筋の道」を読んだ時、「仏教聖典」の表紙にある太陽のイメージが一緒になって“これだ!!”と閃きました。「人はひとりではなく、たくさんの方々に支えられて生きている」ということを痛感し、その思いを歌詞に込めました。

そのひと言が、“君は一人じゃない”ですね
片岡:“君は一人じゃない”という言葉は、仏教的な縁起思想はもちろん背景にありますが、それだけではなく、自然環境や平和といった私たちを取り巻く社会問題を解決しようと思った時にも考えなければならない、共通するテーマだと思っています。一人ではなく、二人で。 さらに、二人より多く、みんなで一緒に手をつないで歩いて行くことの必要性を伝えたいと思いました。

仏教的な作詞は初めてですか?
片岡:これまでに多くの作詞を手がけてきましたが、実は、姉が寺院へ嫁いでいるという縁もありまして、仏教的な歌を作詞したことがあります。しかし、仏教の教えを本格的に表現した歌詞は初めてでした。

作詞で苦労した点は?
片岡:ストーリー性を持った歌詞ではないので、どこから聞いても解りやすい歌詞となるように心がけました。と言っても、文章としての脈絡がなければ困りますが。
中島:作曲についても、仏教の理屈を伝えるのではなく、リズムに乗った一つ一つのフレーズを体で感じてもらうグルーブ感を大切にすることをイメージしました。曲の最初から最後までを通して聞かなければ解らない曲ではなく、その瞬間瞬間からもメッセージを伝えられるような曲を。

今後の活動は
中島:この曲を評価して頂いたということは、この曲を世間に伝えるという使命がかせられているのだと思っています。仏教者はもちろんのこと、仏教にあまり興味の無い方々にも、普遍的に歌ってもらいたいですね。そのためには、英訳をして外国にも伝えるなどの方法もあるのではないかと考えています。

外国ではキリスト教の歌が普遍的に歌われていますね。
中島:50年以上前になりますが、ロサンゼルスに留学していた時期があります。その頃、キリスト教の教会で讃美歌のコーラスを指導していましたが、教会だけでなく西本願寺の寺院でもコーラス指導をしていました。仏教にもそういった音楽があることを、日本ではあまり知られて居ませんので、音楽で“こころ”を伝えることの必要性をずっと持っていました。

発願者沼田惠範師もアメリカ留学中に讃美歌を知り、仏教音楽の現代化とその普及を目指しました。
沢村:仏教の教えを音楽で伝えることは、大切なことと凄く共感できます。先日、クリスマスのコンサートを六本木ヒルズで行った時に、“ふっ”と思いついたことがあります。それは、クリスマスソングはイエス・キリストの誕生を讃えた曲ですが、お釈迦さまの誕生日を祝う曲があまり無いことです。ですので、この曲を作った同じメンバーで「ハッピーバースディお釈迦さま」という、曲を書きました。

4月8日の「花まつり」に、お釈迦さまの誕生を祝う際のテーマソングですね
沢村:「君は一人じゃない」は、J.P.S.Aのテーマソングとして、広くボランティア活動の際に歌いたいと思っています。それと同時に、お釈迦さまの誕生日を祝う「花まつり」が、もっともっと世間に浸透するために一役買うことが出来ればという願いもあります。余談になりますが、私は「仏教聖典」をもとにして仏教を学ぶ会に毎回参加しているのですが、そこで長く講師を務められていた松原泰道先生から「花まつり」の歴史についてお話を伺ったことがあります。それは、若き日の松原先生ら大正時代を生きた青年僧侶が、お釈迦さまの誕生日を縁に弘く仏教を伝えようとする願いと活動でした。そういった願いや活動も、後々まで引き継いでいけるように、歌っていきたいと思っております。


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